2003年1月15日(水)15:29

ドイツとフランスはEU大統領2人制で合意

パリ/ベルリン(AP)

ドイツとフランスは2人制大統領の考え方によって、将来のEU体制をめぐる議論の膠着状況を打開する意向である。ヨシュカ・フィッシャー外相は水曜日ベルリンにおいて、前日のパリ合意を「前進への重要な一歩」と評した。EU憲法会議(=EU将来像会議。訳注)に対する両国政府の提案は、加盟国首脳によって選出される数年任期の欧州理事会代表と欧州議会が決定する欧州委員会委員長による2人大統領制を唱えている。

これにより輪番制の議長制度は廃止されることになる。また、EU外相職の導入により、目標とされてきた人的継続性の拡充が図られることになる。EU外相は欧州理事会にも欧州委員会にも所属し、外相理事会の長をも務めるといういわば「二重の冠」をかぶることになる。この独仏の妥協案は、ヴァレリー・ジスカールデスタン元仏大統領が議長を務めるEU将来像会議に諮られる予定である。同会議は欧州連合の包括的改革の下準備を行うものである。

「われわれはこれにより、いかに独仏エンジンが円滑に回転するかを再び示したのだ」とフランスのジャック・シラク大統領はドイツのゲルハルト・シュレーダー首相との決定的な会談ラウンドを終えて語った。独仏の合意はエリゼ条約締結40周年式典をちょうど一週間後に控えて成立した。当時のシャルル・ドゴール大統領とコンラート・アデナウアー首相によって調印された同条約は、独仏和解の基本法と見なされている。

シラク大統領は「双方が相手に対し一歩譲ったのだ」と述べて、フィッシャー外相とドミニク・ドヴィルパン外相が両国の大きく隔たった欧州政策観からEU外相案を作り上げてくれたことを強調した。フィッシャー外相はベルリンで、一層の「最高権の統合が私には望ましかったが、もう枝葉末節をあれこれ述べるつもりはない」。憲法会議の膠着を避けるため、とにかく妥協を見出す必要があったのだ。さもなくばEUは25ヶ国あるいはそれ以上の拡大後に、「機能しうる構造」を持たずに立ち尽くす事態に陥ったことであろう、と語った。

シュレーダー首相はまだベルリンに戻る前に、欧州政策において統合の原則に期待を賭けるというドイツの伝統に言及した。「欧州の統合と深化を担っているのはとりわけ欧州委員会である。それゆえ、欧州委員会を強化し、特別な方法でこれに正統性を与えることはわれわれの願望であった」。欧州議会の強化も私には重要であった、と首相は語った。

その反面で常に私は「理事会の任務に一層の継続性を求める」フランスの願望も理解できた。「それゆえこの願いを顧慮することはわれわれにとっても決して厄介な問題とはならなかった。」妥協案によれば、理事会は特定多数決によって理事会代表を選出し、その任期は2年半として再選を認めるか、再選を認めず1期5年とするかのいずれかであるという。

緑の党所属のフィッシャー外相は、2人制が決定を長引かせることになるかどうかは分からないと述べた上で、2人制の経験はあると付け加えた。キリスト教民主同盟(CDU)の当ペーター・ヒンツェ欧州政策担当は、欧州委員長が将来は欧州議会の選出によるとの決定は正しい方向への前進であると評し、欧州理事会代表は欧州委員長に対して指令権を持つようなことがあってはならないと述べた。

原題:Berlin und Paris einigen sich auf Doppelspitze fuer EU

*訳注:とりあえず「大統領」の訳語を用いているが、欧州委員長(Praesident der EU-Kommision)も欧州理事会議長(Praesident des Europaeischen Rats)もいずれも本来 Praesident である。「大統領」の訳語が適切か否かは無論その職掌と権限による。




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